「お金じゃない!」〜給特法改正に思うこと〜

みなさんこんにちは。
今年も終わりが近づいてきました。いよいよ2026年がやってきます。

2026年といえば、給特法の改正です。

「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議において可決され、成立しました(文科省)

今日は、この話題になっている「教員の働き方改革」について、「給特法の改正」を中心にまとめていきます。

この話は、学校現場で働く人にとってはとても大事なことですし、子どもたちの未来にも関わる話です。じっくりと読んでもらえればと思います。

目次

そもそも、「給特法」ってなに?

まず、「給特法(教育職員等の給与等に関する特別処置法)」って名前からして、ちょっとむずかしそうですよね。
「よくわからん」と言いたいところですが、公立学校の先生たちの給与に関する特別な法律なので、知っているほうがいいです。

ポイントは、この法律のせいで、教員は「時間外手当(残業代)」が一切支払われません。その代わりに、「教職調整額」というものが一律で4%上乗せされています。

でもこれ、1972年に導入されてから、約50年間も4%のままなのです。つまり、教員がどれだけ残業をしても、たったの4%しか給料が増えなかったので、「定額働かせ放題」と批判されていたのです。

「働き方改革」と言われはじめ、なんとなく学校の雰囲気が変わってきた感じもしますが、教員の長時間労働はまだまだ深刻です。生徒指導や事務作業などで月80時間以上の残業をしている人もザラにいますし、過労死ラインを超えている人もいます。
こんな状態では「先生になりたい!」という人が減っても仕方ありません。すでに「教員不足」は深刻な問題です。

今回の改正で何が変わったの?

政府も重い腰を上げて、この「給特法」をようやく改正しました。
2025年6月の通常国会で可決・成立した内容は以下の通りです。

教職調整額が段階的にアップ!

現行の4%が、2026年1月から毎年1%ずつ上がって、2031年1月には、10%になります。

学級担任手当が増える!

学級担任って生徒指導や保護者対応など、負担が大きく感じますよね。そこで、「義務教育等教員特別手当」が増額されることになりました。ただし、月額3,000円です。

業務量管理の計画が義務化!

各教育委員会が、教員の業務量をしっかりと管理して、健康を守るための計画を立てて、その状況を公表することが義務付けられました。これで、働き方改革をちゃんと進めていこうという狙いです。

「主任教諭」という新しい職位が誕生!

ベテランの教員と教頭の間くらいに、新しい役職ができました。この「主任教諭」は、学校内の調整役とか、若手教員のサポート役になることで、一部の教員に負担が集中するのを減らします。

残業時間を減らす目標も明記!

2029年度までに、教員の時間外勤務時間を平均で月30時間程度に減らすという目標が、この法律の「附則」に書かれました。これは単に給料を上げるだけじゃなく、本当に働き方を変えるぞ!という国の意思表示です。

どんないいことがあるの?(メリット)

今回の改正で得られるメリットは以下のとおりです。

給料がちょこっと上がる

調整額が4%から10%に上がれば、月給が底上げされます。例えば基本給20万円の若い教員なら、毎月約12,000円の収入増になる試算もあります。
ちょこっとの増額ですが、「給料が上がるのはありがたい!」という声も聞こえてきます。

教員のなり手が確保しやすくなる

給料が上がれば、教員という仕事の魅力が少しは上がるかもしれません。そうすれば優秀な人材が集まりやすくなるのではと期待されています。教員不足に歯止めがかかればいいですね。

働き方改革が進む

具体的な時間外勤務時間を目標にしたことや、教育委員会に計画策定が義務付けられたことで、働き方改革が進むきっかけになります。部活動の地域移行や事務作業の効率化などがさらに進む可能性があります。

改正していいの?(デメリット)

一方でこんな心配点もあります。

残業代には程遠い・・・

いくら10%に上がったとは言っても、われわれ教員からしたら「全然足りへん!!」というのが本音でしょう。日教組などは「抜本的な待遇改善には程遠い!」と、強く抗議しています。

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法律の矛盾はそのまま・・・

一番の問題は、教員には「残業代が一切出ない」という、給特法の特殊な仕組みが、今回の改正でも変わっていないことです。どれだけ働いても一律の調整額が上乗せされるだけなのは、他の仕事と比べたら、やっぱりおかしいですよね。

「隠れ残業」が増えるかも・・・

「残業減らせ!」と言われても、学校に求められている仕事の量が減るわけではありません。「生徒のために⋯」と頑張りすぎてしまう教員もいますし、30時間程度の残業と報告はするものの、実際には家で仕事をしているなんてことが増えることも予想されます。

この改正に関して思うこと

さて、改正の内容はまとめられましたので、最後に私個人の感想を書きます。

「別に、お金のために働いてない!」

私の感想は「別に、お金のために働いてねーよ!」です。

今回の改正をもって、教員の働き方や給与については真剣に考えなくてはいけないという危機感が、少なからず世間にも認知されました。
「え?教員って残業代出てないの??」と、驚いている友人もいます。

教育現場の問題に目を向け、改正という形で少し変化したことについては一定の評価はできるものの、それ以上の評価はありません。

結局のところ、「働き方改革を進めます」「教育委員会は管理しなさい」といってはいるものの、具体的な改善策がないですよね。
加えて、「教員調整額の増額」「残業代はやっぱり無し」については、「給料少し増やすから我慢して残業してね。」ということですよね。(少なくとも私にはそう届きました。)

別に、私たちは「給料が増えたら嬉しい」みたいなモチベーションで働いていません。今回の調整額増額で喜んでいる教員はほとんどいないと思います。
それよりも、無駄だと感じざるを得ない事務作業や、「それは教員じゃなくてもいいでしょ」と思われる雑務を本気で減らして、勤務時間が短くなる方が圧倒的にいいです。
そのほうが、結果的に、生徒と笑顔で向き合ったり、より自分が極めたい分野(教科指導や学級経営)の学習に時間を使ったりできま
す。

「残業代を払え!」でもない

とはいえ、すぐに「調整額はいらない!残業代を払え!」という気持ちもありません。
なぜなら、教員は時間にルーズだからです。
やたらと長い会議、無駄な資料作成、職員室で繰り広げられる雑談⋯。
Time is Moneyの精神がない教員の世界においては、残業代を支払うことになると、それはそれで問題です。

私たちにできること

教員自身も意識改革をしない限り、この問題は解決しないものだと思います。
学校教育について考えることは、未来の日本を考えることです。多くの人がこの問題について議論していることは、とても嬉しいことです。
私たち教員が、政府の政策決定に対して関与できる部分は多くはないかもしれません。

しかしながら、私たちにできることもあります。

  • まずは自分たちの働き方を見直して、無駄をなくす。
  • 「学校や教員を応援しよう。」と思ってもらえる価値を提供する。

文句ばかり言っていても仕方がありません。
自分にできることに取り組んで、少しでも自分たちの生活が豊かになるようにしていきたいですね。

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この記事を書いた人

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